25杯目— 天空の茶畑へ【旅茶 tabi cha 1.】

「紅茶は種類が多くてよくわからない」

「カフェインが多くて、飲むと眠れなくなるのでは…?」

そんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回おすすめしたいのが「和紅茶」です。

「和紅茶」は、日本の紀行や風土のなかでつくられた“日本の紅茶”

実は国産紅茶の発祥地である熊本は、全国でも有数の紅茶の産地。

そのなかでも水俣・芦北地域は、

県シェア約7割を占めるんです!(知ってました?)

熊本、国産の美味しい紅茶を探しに。

「みなまた和紅茶」の産地・水俣市を訪ねてきました。

 

 

無農薬・無化学肥料。届けたいのは、風土の力

水俣市の市街地から車で約30分。国道から急勾配の道路に入り、林の中の曲がりくねった道を抜けた先に、「天の製茶園」はあります。

標高約600メートルの「石飛(いしとび)」地区にある畑は、別名“天空の茶畑”とも。

勾配を登っていく途中の道。とっても神秘的!

 

現代表の天野浩さんは3代目。山深い高原の静かな場所で、自然と手をむすび、日々茶畑と向き合っています。

 

「天の製茶園」は1979年以降、無農薬・無化学肥料のお茶作りに取り組んでいます。その理由について尋ねると、「水俣だったからでしょうか」とやさしく語ってくれました。

 

かつて大きな公害があったこの土地は、苦難を乗り越え、全国から情報やヒトが交流する場へ。

いつしか生産者の方は、

「安心・安全は当たりまえ。水俣の風土が生む美味しい食物を」と、

全国に先がけて自然農法を積極的に取り入れるようになりました。

「天野製茶園」も、2代目であるお父さんの代で自然農法にシフト。現在3代目の浩さんが行っているのも、自然と一体化した農法です。

標高600mの天空の茶園にて。30年間無農薬・無化学肥料で育ている 3代目 天野浩さん。

茶畑の面積は全部で11ヘクタールほど。そのすべてに農薬・化学肥料・除草剤を使っていません。

 

天野さんの茶畑で育てるお茶は、8割ほどが紅茶になります。無農薬の茶葉は発酵の促進に優れ、紅茶に合っていることも理由のひとつとか。実際に“天空の茶畑”を案内してもらうと、その広大さにおどろいてしまいます。「管理が大変でしょう?」思わずそんな質問を投げかけてみました。

自然の摂理にしたがった循環の手伝いを人間がするという考え方です。最近は搾取ばかりしすぎて、農業が工業的になってしまっている気がします。

自然の中における人間の役割というものがあると思うんです。いくら自然農法といっても畑を365日監視するのは難しい。

木を見て、土を見て、種を見て、葉を見る。そのバランスを調整しながら、生態系のリズムの安定を信じてあげるんです」。

 

そして天野さんの茶畑では、昔からの「在来茶」「品種茶」の両方を取り扱います。「在来茶」とは、品種改良をしていない昔ながらのお茶の木。

実は、国内のほとんどの茶園が生産性の高い“均質”な改良種の茶葉を育てています。在来茶の生産は全国の茶畑でも約3%ほどとごくわずか。大変希少です。天野さんが育てる在来種は、無農薬栽培でもしっかり育っています。

これが「在来種」の種。しっかり土に根をはるため、生命力にあふれている

 

 

「水はけの良さ、降りそそぐ太陽の光、ゆるやかな傾斜。水俣でお茶が育ちやすいのにはいくつも理由があります。

特に在来種の生命力って本当にすごいんです。健やかな畑で育った茶葉であれば、毎日でも飲みたくなりますよね。

モノづくりはそういうことかなと思っています。自然そのままの畑でていねいに育ててあげて、水俣の風土の力を感じる“野性的なお茶”を目指しています。」

 

暮らしのとなりにある紅茶をめざして

 

天の製茶園では、紅茶・緑茶・烏龍茶などさまざまなお茶加工を行っていますが、そのほとんどが紅茶になります。

なかでも、在来茶と品種茶をブレンドさせた“天の紅茶”が主力製品。無農薬の茶葉を完全発酵させてつくった紅茶は洋紅茶と比べるとすっきりやさしい飲み心地。ほんのりとした甘みと、深みのある味わいが特徴です。

“天の紅茶”は渋みが少ないため、ゆっくり濃いめにいれるのもおすすめ

 

現在は、県内外の百貨店やレストラン、カフェで販売されるほか、高級和菓子メーカー「とらや」“紅茶羊羹”の原料にも使われています。

ストレートはもちろん、ミルクティ、レモンティなど楽しみ方はいろいろ。

「水俣の風土を大事にしたお茶作りをしていきたい」と天野さん。これまでも、これからも、暮らしのとなりにあるお茶を目指しています。

 

同じ熊本の村田園でも、「天空からの贈り物®」として、天野さんが大切に育てたお茶を販売しています。天野さんのお話を聴いていると、本当に天空からのプレゼントみたいだと再確認しました。

ティーバッグタイプの他に、村田園ではリーフタイプ(茶葉タイプ)も取り扱っております。シーンに合わせて、リーフにしたり、ティーバッグにしたり選ぶのも楽しみのひとつですね!

「天空からの贈り物®」には紅茶と烏龍茶があります。紅茶が特におすすめです。

 

 

【取材協力:「天の製茶園」(水俣市)】