18杯目— 旬を教えてくれる 秋色の和菓子。

爽やかな秋風にゆれるのれん。

風情あるのれんをくぐると、店内には、

「栗」の文字があちこちで踊っています。

栗まんじゅう、栗むしようかん、栗パイ…。

本格的な秋がやってきました。

今、熊本県内の和菓子屋さんでは、

こぼれ落ちる秋の実りをとじこめた、贅沢な栗のお菓子が並んでいます。

今回は、熊本市川尻町で和菓子文化の不朽につとめる

「開懐世利(かわせり)六菓匠」のひとつ、『菓舗 梅園』(川尻町)を訪ねました。

 

目に見えない季節の流れを和菓子で感じる

和菓子の基本的な歴史についてお話しておきましょう。

和菓子は古くから受け継がれてきた日本の伝統的なもののひとつ。

特に年中行事と結び付き、人々の生活に深く根付いてきました。

年中行事は、季節の変わり目や、何かの節目に関わるものが多くあり、

そこで食べる和菓子には、子どもの成長や家族の健康など、

人々の願いや思いがこめられているものが多いそうです。

 

また、旬には「走り」「盛り」「名残り」の3つがあると言われますが、

和の文化や和菓子の世界では、「盛り」の時季より少し前が珍重されるとか。

桜餅やうぐいす餅を見て、「もう春がくるんだなぁ」と感じたり、

店頭に栗菓子が並ぶと、秋の訪れに胸をふくらませたり。

私たちは、目に見えない季節の流れを、和菓子によって感じてきたのです。

 

「日本の食文化の基本は、お客様をもてなすための食材選びにあります。」

そう話してくれたのは、『菓舗 梅園』の店主で和菓子職人の片岡圭助さん。

ふくふくとした大きな手で、餡をひょいとつかんだと思ったら、

まるめたり、のばしたり、つまんだり…。

片岡さんの手のひらから、次々と、繊細な生菓子が生まれていきます。

軽快に話を続ける立山さん(とってもおしゃべり上手!)。

取材中も決して作業の手が休まることはありません。

 

「“ご馳走”という言葉があるでしょう。それこそ昔は、

お客さんに食事を出すために食材を走り回って集めたと言われています。

季節を先どりして、お客さんをもてなす心が、旬の和菓子にもあらわれていますね」

 

▲「菓舗 梅園」の3代目・片岡圭助さん。
県外での修業時代を経て、創業明治38年ののれんを継ぎました

 

▲店内に「栗」の字が並び出すと、「秋が来たなぁ」と思います

 

▲ざるの中には栗・栗・栗! 大つぶの栗が出番を待ちます

 

▲この季節だけのお楽しみ。出来立ての「栗パイ」を見せていただきました

 

 

 

栗の素朴な美味しさをひきだした贅沢なお菓子

 

もちろん、お茶と和菓子は切っても切り離せない関係にありますよね。

四季のうつり変わりや季節の味わいを大事にする茶道の世界では、

茶会などでも同様に、季節をたくみに表現したものが求められてきたからです。

 

そうした想いは、和菓子の名前にもあらわれています。

野の草をふき分ける強い風を意味する「野分(のわき)」

色とりどりの落ち葉が風にふかれて一ヵ所に集まった様子を表す「ふき寄(よ)せ」

見た目の印象に加えて、言葉のひびきが何とも秋らしいものです。

 

片岡さんはこう語ります。

「残念なことに、今、食べものの“旬”を知らない子どもたちが増えています。

商品を売るだけではなく、季節感を売る店が、私たちのような“お菓子屋”です。」

 

春には春の和菓子、秋には秋の和菓子を。

旬を生活にとりいれることは、四季のある日本に生まれた醍醐味ですよね。

秋の夜長、自分のために選んだとっておきの和菓子とともに、

お茶でいっぷく くつろぎませんか?

 

▲ねっとりした食感の栗の蒸しようかん「本陣御宝」は216円。

濃い目に淹れたお茶と良く合います

 

▲こちらは定番のヒット商品。栗まんじゅう「栗道楽」(216円)

 

▲「栗もなか」(150円)も秋だけの商品。ころんとかわいい最中に
つぶあんと刻んだ栗がたっぷり!

 

【取材協力:「菓舗 梅園」(川尻町)】

 

 

 

秋のお菓子と一緒に温かい緑茶もいかがでしょうか?>>>

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